時間をかけて、High impact journalをめざすべきか?

上記タイトルに関して、ちょっとしたストーリーがこちらのブログに。若手プロフェッサー用の助言。

まだ予備データの段階で論文を出そうとすると、いわゆる「インパクトファクター」の低い雑誌に出すことになる。仮説をサポートするデータをためて、全体で大きなストーリーを形成できれば、出せる雑誌の格はあげることはできるが、そこまでするには、大変な時間がかかる。そしてレビューワーとの戦いの時間も何倍も長くなる。どこで妥協するのが最適なのか、という質問だ。

もちろんこれは場合によるんだけど、「独立の証明」として、最初の論文は早めにだしたほうがよいという考えがのっている。たしかに、ラボが立ち上がっていて、結果がでてきていることを証明するには、やはり小さい論文でも出しておくと違うだろう。もっとも、大きなストーリーになりそうなときに、小出しにするのは悔しいし、そこは難しいところだ。

うちのラボの場合は、最初の原著論文は立ち上げ3年目のBrain Cell Biology。自分がGuest Editorということもあって、サイドでやっていた結果をとりあえず載せた。内容的にはがんばれば高い雑誌を目指せたかもしれないが、他のプロジェクトに力を注ぎたかったため、論文にするためのデータをちょこっとだけ加えて提出した。多分ここで出さなかったらこのデータはお蔵入りだったかもしれない。しかし、この論文のおかげで、あるグラントのレビューで、「PIとしても論文がではじめている」というコメントをもらったことがある気がする。

2報目の2009年のNatureは、メインの結果そのものは2007ごろにはでていたが、データをためてためて大きな論文にした。4報目の2011のNatureもそういう感じだ。やはりこの辺の雑誌にだそうとすると、かかる時間もとても長くなるし、実験するポスドクや学生にも耐久力が必要となる。よく人から、これらの論文は2報にわけられるよね、といわれる。

さて、最近になって出てきた問題としては、プロジェクト途中で学生が卒業してしまったりなどで、断片的なデータがあちこちにある。これらを論文にするのかほっておくのかも考えどころ。がんばれば仕上げられるのはわかっているのだが、サイドのプロジェクトとしてやると、意外とまとまらないという中途半端な状況だ。