マックスプランク研究所のシステム

マックスプランク研究所は、ドイツを中心にヨーロッパに80個ほどある。1つ1つの研究所は比較的小さくて、PIがだいたい10−20人くらい。そのうちディレクターは2−4人くらいで、あとの十数人がグループリーダーとなる。どちらもマックスプランク全体で決定されるので、フロリダのマックスプランクでもインタビューはドイツだったりする。

ディレクターは終身のポジションでグラントがなくても十分に研究できるだけの予算が毎年つく(ドイツでは、ディレクターには認められていないグラントがかなりあるそう)。審査は5年おきにあり、それにより予算が変わっていく。実際オファーの内容は、大学では考えられないような素晴らしいものだったし、このような機会がめぐっくることはそうそうはないだろう。移動は家族にも大きな負担がかかるので迷ったが、最後はアクセプトすることにした。セレクションのプロセスにはなが〜い時間がかかり、コミッティーによる審査をへて最終的にはディレクター全員の投票となる。コミッティーによる審査のさいにはいろいろあったようだが、最終の投票では、ほぼ満場一致で決定になった、と聞いた。審査は、私には見えないので、いったい何がどんな風に行われたかわからないが、声をかけてもらってから1年以上かかっていた。

グループリーダーは5年後に1回更新し、そのあと2年+2年の2回の更新を経て合計9年までいられる。そのかわりR012つ分程度のかなりの研究予算が毎年つく。9年間で成果を出すには十分な予算であるからして、大きな論文を数報書き上げれば、その後グラントをいくつかとり、どこにでもいける、というのが基本的なキャリアプランか。プレッシャーが高いのもたしかだが、研究所からの潤沢な資金を利用して9年間で成功までの道筋をつけてしまうのも1つのプランだろう。大学でもスタートしたラボを軌道に乗せるのは大変なことだ。しかし、大学のテニュアトラックと競合するので、人材確保は簡単ではないかもしれない。今回はMPFIがオファーをだした二人ともポジションをアクセプトする、という快挙で、しかもそのうち一人は日本人PI!

ということで、ジュピターの日本人人口は一挙に増えると思われる。