月に一回のグラント

またまたグラント書きの時間がやってきいた。明日が、グラントオフィスに提出の期限。アブストラクトと予算を決定しなければならない。今回のグラントは、Whitehall foundationというところだ。一年間に$75,000のサポートが3年間と、プライベートの中ではなかなかの金額になる。1つのラボの研究予算はどれくらいか、というのはなかなか簡単にはいえないが、分子生物学系では、ポスドク一人あたり年間$15,000くらいの消耗品といわれているようである。そのほか給料+福利厚生費で1年目のポスドクでも$45,000くらいになる(NIH基準)。ということで、$60K-$80K/year、2-3年のグラントは、ポスドク一人をやとって小さいプロジェクトをやるのにぴったりなのである。そのほか、自分自身の給料を10%程度要求することもあるし、顕微鏡関係の消耗品をいれることもある。予算はなるべく消耗品にしておくとよい。

さて、グラントを提出するときに、普通は書かなければならないものの1つに、他のグラントの内容を書く、「Other support」のページがある。ここに、申請中+すでに獲得したグラントのプログラムの概要とか、どれくらいの時間を使う予定か(エフォト)とかを書く。給料=エフォトなので、PIの給料サポートがない予算は、そういうふうに書いておく。このページ、グラントを毎月のように出すから、どんどん増えていく。下は一部和訳したもの。われながら、よく出したよなあ。

一番したの「オーバーラップ」Noneというのがポイントである。本当にNoneなんかい、という突っ込みが入るのは当然。実際、日本語訳した概要をみてみても、2−3個のキーワードが回っている。組み合わせがちょっと違うけど。。。フェローシップの3つは、もともとLabの研究に関する方向性みたいなものを研究計画として書いているのだから、オーバーラップしているといえばしているのだが、研究グラントというよりは、研究者への「賞」みたいなものだから、問題はないだろう。今回のグラントは、そのほかのDanaとかNSFとかからは、思い切って内容を変えてあるから、ここでNoneとかく分には問題なかろう。もちろん、シナプス結合が変わることによって記憶ができる、その分子メカニズムを調べよう、という方向性には変わりがないわけだが。。。

今回のグラントは、予算が約200K/yearを超えると、レビューでトップ当選してもお金は降りないことになってる。つまり、あと1個でも通過したらまずい。審査中のやつが全部審査が終わるまでは、グラントを「Pending」の状態にするらしいんである。こまったものだ。まあ、全部はずれたときの保険という意味合いになるかな?いや、本当に全部落ちる可能性があるんだから、保険とはいえないか。とにかく確率を上げておくのはよいことだ。

グラントプログラム、(グラントの責任者)、期間、エフォト、財団、一年当たりの研究費、題名

(今もらっているやつ。。)

  • Career Award at the Scientific Interface (Yasuda) 7/1/05 – 6/30/08, 50%
    Burroughs Wellcome Fund, $120,000, "Visualization of biochemical signaling in single dendritic spines." 
    神経シナプスの情報伝達を可視化する顕微鏡技術の開発
  • Program in Brain and Immuno-imaging (Yasuda) 1/1/06 – 12/31/07, 10%
    Dana Foundation, $100,000, "Imaging Ras signaling in neurons."
    情報伝達たんぱく質Rasの活性を可視化する顕微鏡技術の開発

(審査中のやつ。。)

  • Alfred P. Sloan Research Fellowship (Yasuda) 9/15/06 – 9/14/08, 1%* 
    Alfred P. Sloan Foundation, $22,500 *no salary support
    2光子蛍光寿命顕微鏡を使ってシナプス伝達の調節の分子メカニズムを調べる。
  • Esther A. & Joseph Klingenstein Fellowship (Yasuda) 7/1/06 – 6/30/09, 1%* 
    Esther A. & Joseph Klingenstein Fund, $50,000, *no salary support
    情報伝達たんぱく質Rasがどういうふうに空間時間パターンを形成するかを調べる。
  • Collaborative Research in Computational Neuroscience(Yasuda) 7/1/06 – 6/30/11, 20%
    Natural Science Foundation, $216,988 
    シナプスたんぱく質の活性を測定し、そのデータをもとに情報伝達の数学的モデルをつくる。(SRIとの共同研究)
  • Research Award, Biomedical (Yasuda) 7/1/06 – 6/30/11, 5%*
    National Alliance of Autism Research, $53,452,*no salary support
     Rasの活性がどのようにしてシナプス伝達の調節を行うのかを調べる。

(オーバーラップ)
None



追記:日本のPIで、年齢もラボの規模・年数も似ている人が、予算規模を書いているのでリンクしておこう→セキララ氏