音楽うんちく

先週、調律について書く、と予告したので、まあ、うんちくとして。

真中のドの音は普通約260Hzの振動。だけど、同じドの音でも楽器によって音色が違う。これは倍音のためなのだ。実はドの音をならすと、倍の520Hz(2倍音), 3倍の780Hz(3倍音) ....の音も出るため。重なり具合が楽器によって変わるため音色が変わって聞こえるわけだ。2倍音はオクターブ上、3倍音はその上のソの音、4倍音は2オクターブ上、5倍音はさらにその上のミの音。

倍音に違う音が入ってるわけで、そのおかげで、ドがきまると、自然にソ、ミの音の高さは数学的にきまるのだ。ちなみにさらに上の倍音をとれば、シ、やレも決まる。そう、これはピタゴラスのみつけた音階の定義なのだ。ピタゴラス律とも言われる。ピタゴラス律で調律された楽器で例えばドミソの和音を弾くと、3つの音の倍音が同じ音になるので、なんの混じりけもない、美しい和音ができる。

おもしろいのは、こうしてできた音階は、不ぞろいで、等間隔になってないこと。さらに、例えばドの#とレの♭は違う音として定義される。このため、ピタゴラス律では1つの調しか、まともにひけないのだ。

平均律は、これと逆に、和音の汚さに目をつぶって、上の数学と無関係に1オクターブを12等分したものだ。和音はきたないが、すべての調で弾ける。この和音と自由度のバランスをどうするか、という問題の解決の方法が、鍵盤楽器の調律法の歴史そのものなのだ。

平均律のピアノでも、それほど耳障りに感じないのは、単に慣れてしまっているせいと、ピアノではそれを隠すために微妙に長さの違う3つの弦を同時にならす、などの工夫をしているためである。ちなみにバイオリンではこの問題は起きないのだが、大部分の人は平均律に近い調性で弾いてしまっていると思われる。バイオリンもビブラートをかければ、和音の汚さは目立たなくなるからね。

来週はもしかしたら、さらに詳細を書くかも。