トラフィックジャム

カレルの研究室は、1つの大きな部屋に2mx1mくらいの防振テーブルが3つあって、二光子顕微鏡が1つのテーブルに2つある。二光子顕微鏡のレーザーは値段が高いので、1つのビームを2つにわけて、2つの顕微鏡にいくわけだ。1つのテーブルの顕微鏡を二人で同時に使ってるときは、相手に振動がいかないように、注意して実験することになる。全部の顕微鏡が1部屋にあるから、電気はいつも消えていて、かさのついた小さいライトで作業するわけだ。試料は明るいところで作って、そこから1回1回顕微鏡のところにもってくる。ということで、この暗闇のなかを最大6人が歩きまわることになる。さらに悪いことには、顕微鏡室の真中の大通りは、建物の後ろの階段につながる唯一の道なので、単に通り抜けるひともいる。こういう状況で何が起こるかはもう明らかで、人とぶつかるんである。私なんぞは、もう毎日毎日人とぶつかる。特に私の顕微鏡のところは、その大通りから死角になっているため、顕微鏡から出たときの出会いがしらの事故が多い。 ぶつかってもお互い気合でサンプルは死守しなければならないから大変だ。信号があればいいのに、と思わないでもない。