イムリーにも、帰りのラジオで、ピアノによる、バッハのチェンバロ協奏曲をやっていた。これが、シフによるすばらしい演奏だった。彼がチェンバロを選ばなかったのは懸命だろう。表現を知りつくしているピアノで、細かいアーティキュレーションバロックっぽいひびきを出す。適度な装飾もなかなか心憎い。彼のピアノの音は、不思議なことに、オーケストラから浮き出ないで、逆に溶け込むような性質があって、それもこの曲になかなかあっている。

そういえば、私はバッハの1台のチェンバロ協奏曲(全8曲)は、大学時代、バロックアンサンブルの仲間とほぼ全曲を弾いた。たいていの場合は弘子に1st violinをやってもらった。懐かしいなあ。どの曲ももともとは、バイオリンや笛などの楽器ための協奏曲で、それをバッハ自身が書き換えてるんだけど、正直いって最高傑作というわけではないと思う。ただ、独特の風味があって、私などは、レオンハルトの弾くCDをかけると、本当にわくわくしてくる(この録音もオーケストラのレベルなど、あまり高くない)。