グラントの書き方

さて、最近NIHからもう1つR01グラント(大型研究予算、1年あたり$150-$250の3−5年が普通か)がとおり、私がPIとなっているR01は、テクニカルには5つになった。複数PIのものが1つ、同僚から引き継いだものを含めてだが、それでもR01に関してはこれまで採択率100%を維持している。おかげで、うちのラボの直接経費予算も$1Mを超え、そのうえにHHMIからの備品予算もつく、というラボが始まった当初かすると、夢のような研究環境となった。これまで敗れたグラントもあるけれど、すべて合わせても80%以上の採択率を維持している。テニュアのほうも問題なさそう。

もちろん、まだR01の審査(Study sectionとよばれる)もやっていないわけで(Tenure前ということで、勘弁してもらっている)、たった4つ5つ連続してとれたからといって(まだ再提出もやったことがない)「勝利の方程式」が見えたわけではないとは思うけど、それでもいろいろな先輩からアドバイスされ、大事だと思う項目を整理しておいてもよいだろう。

1.グラントセミナーにでる
ゲームのルールを知らなければグラントはとれない。一度でもでると、書き方のコツがわかる。

2.いいアイディアがある。
プロジェクトが成功してHigh impactな原著論文が次の5年間に4−5報でる、ということを審査員に納得してもらう、というのが最終的に大事なのだと思う。そういうアイディアが出るまで考えるべし。

3.大きな論文を書く直前が最高のタイミング!
神経学科の学部長ジムからのアドバイス。論文のねたを「予備データ」として使い、そこから派生する問題をグラントにする。すべての技術的なブレークスルーは、グラントを書く段階で解決している必要があるので、どうしても論文が近い状況になる。

4.仮説、または目標は、1文で、明確に。
グラントセミナーより。グラントセミナーは、Specific Aimsの書き方が50%を占める。それだけ大事なセクションなのだけど、そこで1文でかける「Central hypothesis」というものを書く。これだけでProposalらしくなる。この仮説は、「正しくなければいけない」という恐ろしい宿命があり、予備データをたくさん用意して「たぶん正しい」ということを書く。

5.Specific Aimsは3つがいいかな?
グラントセミナーより。Central hypothesisを証明するための3つの実験目標を書く。ここで重要なのは、たとえばSpecific Aim 2をやるために、Specific Aim1の成功が必要であることが、ないようにするのがよい。この「前Aim依存性」は、避けられない場合は、Specific Aim1に関しては、「まず100%成功する」と思わせるだけの予備データを取る必要がある。

6.KISS(Keep it simple, stupid!)の原理
カレルからのアドバイス。何十個ものアプリケーションを読むがわからすれば、複雑なロジックなどもってのほか。簡単に、素人でもわかるように。私自身は、条件分岐はなるべく避けるようにしている。もし必要な場合は、ほとんど、かたほうの分岐のみを考えればいいほど、予備データをためておく。

7.図表を使う。
複数の人より。。1つの図は100行の文章よりも効果的なことがある。表は、個人的には、すべての項目を網羅している雰囲気を出すのに使っている。

8.すべての可能性を考えつくしている、という雰囲気を作る。
グラントセミナーより。仮説が正しい場合とそうでない場合の、「予想される結果」というのはきちんと書いておく。ポジティブ、ネガティブコントロールも大事かな。

9.1月前には書き終え、人にみせる。
当然。グラントセミナーより。

こんなもんかな?Study sectionに言ったことある人の意見があれば、ぜひ聞きたいものです。コメント欄に!